ポルシェ911GT3でパイロンコースを全開走行!

広場レッスンでも感じ取れた、「ポルシェの走り」のエッセンス

先日、ひょんなことからポルシェ911GT3(現行の991型)でスポーツ走行を体験する機会がありました!

トップスピードはせいぜい100km/ちょっとのパイロンコース、正味3~4分×2本の走行でしたが、もう一生できない体験だったかもしれません…。DSC04007-2s

スポンサーリンク

悲劇から一転

※ここは911GT3に乗ることになったいきさつなので、走りのレポは次の段落からになります。

富士スピードウェイの駐車場にパイロンコースを設置し、そこで基本的なスポーツドライビングのトレーニングを行うというもので、自分のロードスターの挙動を確認するために参加しました。

ところが、クギでも落ちていたのか、午前の走行中にまさかのパンク…。
応急修理ではスポーツ走行に耐えられないと判断し、せっかくの練習会なのにリタイアです。写真 2015-07-26 11 42 33

が…当日参加されていた方が、「高いお金払ってるのにツイてないね~。せっかく来たんだから、アレで走ってきなよ!」と声をかけてくださり…。

その方の愛車は、まさかのポルシェ911GT3だったのです…!

ポルシェ911GT3について

ポルシェ911と言えば、説明不要のポルシェの代名詞。
伝統のリアエンジン・リア駆動(RR)、自然吸気エンジンを搭載したモデルとしては、歴代911の中でも最強のグレードです。写真 2015-07-26 13 41 21

パワーと価格で見ると、GT3の上には911ターボがありますが、文字通りターボエンジンで、4WD仕様となっています。

それでは、簡単に911GT3のスペックを紹介します。

いや、もう驚愕のスペックとしか言いようがありません。

イタリアでフェラーリ458を運転したことがありますが、あの時はおっかなびっくり直線番長だったので、スポーツ走行を体験したクルマとしては自分の中でダントツの最強車両になります。

乗車~発進まで

窮屈ではないが、もちろんワクワクするインテリア

そんな「スーパーカー」と呼んでもいいような911GT3ですが、そこは現代のスポーツカー、普通に乗る分には特殊な能力は必要ありません。

かつての930や964と比較するとかなり大柄になったボディのおかげで、乗りにくさや窮屈さは感じません。

もちろん、インテリアを前にした時の「スポーツカー感」は満点。
350km/hまで刻まれたスピードメーター、レッドゾーン9,000回転からのタコメーター、そして中央には誇らしげに「GT3」の文字。写真 2015-07-26 13 29 16

GT3はオートマなので楽チン運転♪

オートマといっても、もちろんポルシェ自慢のPDK。
電子制御式のツインクラッチを搭載した、電光石火のシフトチェンジを実現するセミATです。

サイドブレーキがどこにあるのかよく分かりませんでしたが(笑)、発進自体はシフトレバーをP→Dにして、アクセルをゆっくり踏み込めば、何事もなかったかのように発進します。写真 2015-07-26 13 29 12

RRレイアウトならではの走行性能

もう一度書いておきますが、このインプレは低速コーナー中心のパイロンコースで、2速固定・トップスピードは100km/h程度のスポーツ走行のインプレです。

スポーティな走行を楽しむには、スポーツドライビングの基礎知識は必須

冒頭に書いたとおり、ただ走るだけなら誰にだって走らせられるクルマです。
しかし、鋭いコーナリングを実現するには、一般的なスポーツカー以上に基礎知識が重要になってきます。

前荷重を作り出せ!

RRレイアウトなので、言うまでもなく重量物がリアに集中していて、相対的にフロントは軽いです。
つまり、フロントタイヤの踏ん張りが弱いので、ハンドルを切って曲がる時の反応は鈍いということになります。

ではどうするかというと、コーナー手前でブレーキを踏んで減速し、クルマが前のめりになる姿勢を作る。
これを「フロントへの荷重移動」と言いますが、こうやってフロントタイヤを地面に押しつけることで、フロントタイヤのグリップ力を高めて、ハンドルが反応しやすい状態を作ります。

ブレーキ残し

ブレーキングで前荷重を作っても、そのままハンドルを切ってはダメです。
ブレーキング中は、フロントタイヤの性能は減速させることに使われていて、ハンドルを切っても曲がるための性能が足りない状態です。

なので、ここでブレーキを緩めるんですが、緩めすぎると前のめりの姿勢じゃなくなってしまいますし、緩め方が足りないと曲がるための余裕が生まれない。

ポルシェに限らず、スポーツドライビングで最も難しいのがこの部分だと言われています。

テールスライドを食い止めろ!

GT-Rでもフィットでも、ブレーキ残しまで上手く行けば、その先はだいたい上手くいくのですが、ポルシェだともうワンステップ難しいポイントがあります。

ブレーキ残しが上手くいって鋭く曲がり始めると、フロントはどんどんコーナーに向けて切り込んでいきます。すると、相対的に見るとリアの方は外側に振り出される格好となります。ドリフトしてる時のイメージですね。

ここで思い出さないといけないのは、RRのポルシェはリアが重いということ。
一度、重たいリアが外側に振り出され始めると、どんどんリアが外側へ…それがテールスライドであり、放っておくとそのままスピンするわけです。「オーバーステア」と呼ばれる現象です。

「動いているものは動き続けようとする」慣性の法則があり、重たいモノほど止めるためには大きな力が必要です。
これが、独特のRRレイアウトを持つポルシェ最大の特徴と言えます。

これを止めるためには、ハンドルを戻して曲げる向きを戻すか、前のめりの姿勢を戻してフロントの食いつきを弱めるか、どちらかの対応をする必要があります。

RR車最大の悪癖が、最大の武器に

しっかりブレーキングで前荷重を作らないと曲がれない、でも鋭く曲げすぎると今度はテールスライドでスピン状態に…という、なかなか素人には厳しいポルシェの特徴。

ですが、上手く走れるようになるとこれは最大の武器になります。

ブレーキングさえ上手く行けば鋭く曲がり始めることができ、テールスライドを止められれば速く走ることができるわけです。

テールスライドを止めるためには、前のめりの姿勢を戻してリア荷重にすればいいので、ブレーキを戻してアクセルを踏めばいいわけです。
もちろん、乱暴に踏み込むと今度はホイールスピンしてスピンを誘発してしまうので、絶妙なコントロールが必要です。

ですが、ここでテールスライドをアクセルで止めることができれば、そこからはコーナー脱出のために加速していくことができます。

クルマが加速する時は後ろのめり、つまりリア荷重になるわけですが、リアの重いポルシェはここでリアタイヤが力強く押しつけられ、大きなエンジンパワーを無駄なくぶつけることができます!

初心者には厳しいですが、乗りこなすと圧倒的な武器になる…それがポルシェの速さの秘密です。

10分弱のパイロンコースでも、ポルシェの走りは味わえた!

さて、うんちくはこれぐらいにして…それをたかっかは実践できたのか!?という話です。

自分のロードスターで走っていた時は、うまくブレーキを残して鋭く曲げて、ややカウンターを当て気味にコーナーを立ち上がっていくことができました。

そこで911GT3に乗り換えると、ある程度ブレーキングのコツは分かっているので、曲げ始めることはできましたが、ロードスターのつもりで切り込んでいくと完全なオーバーステア状態になり、そこでVSCが作動してようやく姿勢が戻ります。

かといって、コーナー進入をアクセル戻しだけで減速しようとすると前荷重が足りずに曲がりません。

ほんの50km/hかそこらからのコーナリングでこの動きをするんですから、高速域ではなおさらでしょう。DSC03915-s

で、うまく安定して曲げられたのかというと…?

さすがに10分では理想的なコーナリングは決まらなかったと思います^^;
オーバーステアにならないように、アクセルちょい踏みを維持しながら小刻みにカウンターステアを当てるという対処をしましたが、あまり効率の良い運転ではなかったと思います。

ですが、そこからの立ち上がりはリアのどっしりとした安定感で、慣れてきた後半にはちょっとだけベタ踏みもさせていただきましたが、しっかりと路面を掴んで爆発的な加速をしてくれます!

実はボクサーエンジンのサウンドには良い印象を持っていなかったのですが、以前に乗ったケイマン同様、実に気持ちのいい音を奏でてくれます♪「バタバタバタバタ…」という音は、昔の空冷ポルシェだけなんですかね(笑)

お礼

こんな形で、愛車がパンクするという不運はありましたが、それ以上に大変貴重な体験をさせていただくことができました。

初対面の若造に、大切な愛車…それも911GT3というスーパーカーのハンドルを預けてくださり、本当にありがとうございました。このブログをご覧いただくことはないとは思いつつも、この場を使って御礼申し上げます。

タイトルとURLをコピーしました